2013年為替相場見通し

 

為替相場概観

安倍政権になって一気に円安になりびっくりしているところですが、円安傾向は続くのかどうかが焦点になります。米国オバマ政権は何でも良いから超金融緩和政策を継続するようですが、日本だってヨーロッパだって超金融緩和政策を採用、バブル景気でも何でも良いから景気を維持しようとしています。これは中国も同様です。超金融緩和政策は財政破綻と裏腹の関係にあり、いつまでも続けられるわけがありません。世界中でチキンレースをやっているようなものです。そう遠くない将来、景気より財政状況に焦点が当たることになるでしょう。

 

今年もう一つ気をつけなくてはならないのは政治(紛争)状況です。イスラエル周辺、中国周辺などでは武力紛争が現実味を帯びてきています。今すぐ、という訳ではないでしょうが注意が必要です。

 

為替の行方

とりあえずの円高局面は終了したのかもしれません。ドル円で三ケタ、100円もあるのかもしれませんが、あまり長続き(年単位の)はしないのではないでしょうか。シェールガス革命も、革命という割には従前と同様に自然界に存在する資源を掘り起こしている(それも相当乱暴な方法で)だけです。世界各国が追随すれば、米国の先行者利益も目減りして行きます。米国が世界の覇者からじりじりとすべりおちていくのを止めるほどではないでしょう。

ということで、次のドル/円のターゲットは50円ぐらいだと思っていますが、すぐ(年内とか)ではないと思います。今年は長期のドル凋落の踊り場といった展開になるのではないでしょうか。

 

予想為替レンジ  ドル/円        80100

                ユーロ/       100130

 

 

歴史的類似

現在のように自由主義経済が行くところまで行き、企業(資本主義)が横暴を極めた時代、というのは、100年ほど前にもありました。その時世界各国はブロック経済を敷き何とかしのごうとしましたが失敗、2度の世界大戦を引き起こしました。2度の世界大戦の後はむき出しの資本主義を押さえ、どちらかというと社会主義的な政策が採られていましたが、昨今市場原理主義として資本の論理が復活しつつあります。その現れとしてTPPだ何だと経済のブロック化が始まっています。人類は今回も世界大戦を始めるほどバカではないと思いますが、地域紛争などは避けられないかもしれません。ここ数年は危ないかもしれません。

 

 

地域別ファクター/分析

日本:アベノミクスの正体がはっきりするのは夏の参議院選挙以降となるでしょう。その効果については、私は疑問視しています。アベノミクスの正体は旧態依然とした景気刺激策のオンパレードです。もし効果があるのであれば、前回の安倍内閣時代にすでに不況を脱却できていたはずです。

 

米国:シェールガス革命によって、短期的には景気の回復が見込まれますが、シェールガスはかなり環境負荷の高い方法で採掘されており、今後大きな問題に発展すると思います。
また、シェールガス革命は政治的にも大きな影響を与えるものと思います。中東のエネルギー資源への依存度が低下することにより、中東への関心が薄れるかもしれません。
その場合、食糧やエネルギーを含めあらゆるものを自国で賄える米国はモンロー主義への転換などドラスティックな政策を採用する可能性があります。ドルのデノミネーション(と、それによる対外負債の踏み倒し。新通貨はアメロとか)なども噂になっています。そんなことが起きたら為替相場などは吹っ飛んでしまいます。同盟国への影響を考えるととても実行できないはずですが、世界情勢を考えると絶対にあり得ないとは言えないように思われます。

 

欧州:通貨ユーロが経済学的に矛盾を抱えていることは確かですが、歴史的偉業であるEU解体することは政治的には採用不可能です。ではどうするのかといわれても、多様な加盟国を解体、政治経済を完全に統一したヨーロッパ共和国を設立するといった過激な政策を採用することは不可能でしょう。一気に矛盾を解消するマジックはないと言えます。とんでもない外圧(戦争とか)があるまでは何とか弥縫策をとり続けるのではないでしょうか。

 

中東:前述のような事情で米国の関心が薄れる可能性があります。すでにマリに対するフランス軍の進駐を契機とするアルジェリア人質事件などに影響が表れています。
米国のイスラエルに対する政策も微妙に方向性が変わっているようにも思えます。ナタニエフ政権に対するイスラエルの国内支持は依然として強固なものがありますが、強硬政策一辺倒が続くとハルマゲドンが起きるかもしれません。

 

中国:中国は政治(民主化要求)、経済(バブル終焉、格差是正)に大きな問題を抱えています。
今のところ、政治的要求に対しては強硬策で対応していますし、経済的要求に対してはひたすら通貨を供給することで対応していますが、いずれも長続きしないことは中国共産党政権も認識しているものと思います。
共産党政権維持が至上命題である共産党政府は、対外政策(戦争)に打開策を求める可能性があります。自ら仕掛けることはないとは思いますが、あらゆる挑発を繰り返し紛争を誘発しようと試みるのではないでしょうか。また、結果として紛争が起きたとしても、応戦することに躊躇はしないでしょう。

 

 

 

とはいえ、みなさん80円の時にドル資産を買ったのでしょうか。歴史的円高だったのですから、円安になるくらいにアメリカから何でもいいから買わなくちゃ。私は高価なミニカーを何個かアメリカからお安く買えました。良かった。